数年前に大ベストセラーとなったご本「聞く力」。わたくし、この本を書店で見かけると、決まって殿のことを思い浮かべます。 日々、テレビやら映画やらその他やらで、恐ろしい数の打ち合わせを次から次へとこなしている殿は、人の話を実によく聞きます。今回はそんな殿の“聞く力”について──。 まず殿は基本、若いADだろうと、殿を前にしての緊張から、説明が取っ散らかっているディレクターであろうと、口を挟むことなく、渡された資料や台本をじっくりと読み込みながら、黙って説明をお聞きになります。そして、全ての説明を聞き終わった後に、御自分の意見をゆっくりと述べるのです。殿は以前、 「その道のプロに会ったら、知ったかぶらずにどんどん聞くんだよ。知ってることでも知らないフリをして改めて聞くと、知らないシアリス 通販事実が出てきたりして楽しいんだから。とにかくまずは聞くの」 と、若手に語っていたことがありました。 が、そこは殿です。ただ聞いてるだけでは終わりません。その昔、ある特番の打ち合わせがあり、いつもどおり静かに聞き入り、実に“大人な”打ち合わせを終えた殿は、楽屋でわたくしと2人っきりになるとすぐ、 「おい。さっきの中に怪しい奴いたな」 と、指摘してきたのです。この時、殿がおっしゃる「怪しい」の意味がよくわからず、「は〜」と、気のない返事を返すと、殿はすかさず、 「カツラだよ!」 と、“お前は気付かなかったのか!勘の悪いやつだ”的なトーンにて食いぎみにツッコんできたのです。… しかしカツラが見破られずに叱られる師弟関係って! 殿はいきなり現れた弟子入り志願者の話まで、じっくりと聞かれたりします。 数年前の冬、仕事終わりで食事会があり、殿に同行する形で、車から店までのわずかな距離を歩いていると、いきなりリュックを背負った若者が殿の前に現れ、「たたた、たけしさん、ネタを書いてきました。ででで、弟子にしてください!」と、興奮ぎみにノートを差し出してきたのです。殿はノートを受け取ると、 「今、弟子はとってないからな‥‥」 と切り出しながらもノートを開いて、2分程ネタを吟味されたのです。そして、その若者が、“いかに殿が好きで、何が何でも今すぐ弟子になりたい”といった、興奮と焦りからくる、かなり支離滅裂な終わる気配のない猛アピールを、殿は静かに黙って聞いていました。で、待ち合わせの時間もあるため、わたくしが殿に“そろそろ”と促すと、 「お前ちょっと、このあんちゃんの連絡先聞いといてやれよ」 と指示を出し、その場をあとにされたのです。そして、威哥王2時間程食事会を楽しんだ殿は帰りがけに、 「あのあんちゃんによ、あのネタ、○○○したほうがもっと面白くなるんじゃねーかって、お前、電話で伝えといてくれよ」 と、伝言を残し、帰っていかれたのでした。 |